空が茜色に染まっている夕暮れ時 ミチ子はクラブ活動の帰り ふと空を見上げる。
ミチ子「パーマン・・・」
パーマン1号 彼の姿を見なくなってはや1年が過ぎようとしていた。彼と初めて
あったのは小学校5年生の時、誘拐され殺されそうになった自分を赤いマント
青いマスク姿でさっそうと登場し助けてくれた。パーマン1号
その後の彼の活躍はめざましかった。そして幼なじみのミツ夫と友達らしく彼は
ひんぱんにミチ子の前にも姿を現していた。パーマン1号も自分に好意を向けて
くれていたと思っていたのに、彼は突然 姿を消した。2号〜4号は相変わらず
活躍しているというのに・・・
セーラー服のリボンがふわりと顔にかかる。と彼女の前に突然 現れた違う学校の
男子生徒 紺のブレザーに緑のネクタイの制服
男子生徒「あ、あの、、、コレ 読んでください!」
と手紙をミチ子に渡すと走り去っていく。手紙にはハートマークのシールが
貼ってある。まぎれもなくラブレター
ミチ子「また・・・か」
ミチ子はため息を付く、中学に入ってからミチ子はテニス部に入り 他学校との
練習試合などで近所の中学校に行くことが多い、その勢もありミチ子はラブレターを
毎日4・5通はもらう程だった。でもミチ子の心にはパーマン1号しかいない。
そう、ついさっきまでは・・・。毎日 毎日 何通もラブレターを貰う 勿論 全然
興味がない人ばかりだが、中にはミチ子が心ひかれる男子からの交際申し込みもある。
中でも今日 ついさっき部室の前で待ち伏せされ手紙ではなく はっきりと目を見て
交際を申し込んでくれた1学年上の先輩。彼にあこがれてテニス部に入ったと言っても
いいすぎではない、そんなあこがれの先輩が自分に交際を申し込んできたのだ。
先輩「コレはボクの気持ちだから、もしミチ子くんに他の好きな人がいるなら、
そう言ってくれ、返事は連休明け(試験休み)に聞かせて欲しい」
誠実で清潔、勇敢で優秀 勿論 ルックスもいい あこがれの先輩
ミチ子「でも、パーマン」
空を見上げるとパー子が飛んでいた。彼女がこの辺りを飛んでいるのを見るのはずいぶん久しぶりだ。
ミチ子「パー子さん」
パー子「あ、ミチ子さん お久しぶりね」
パー子がニッコリ笑って彼女の前に降り立つ、紺のブレザーを私服の上に着ている
パー子は、少し自分より背が高いような気がした。いや、正直に言おう、彼女の方が
スタイルが良いなとミチ子はちょっと口惜しかった。
ミチ子「あの、パー子さん・・・」
涙がポロポロこぼれる それを止めることが出来ない どうしよう・・・
パー子「どうしたのミチ子さん 誰かにひどいことされたの?あたしがとっちめて
やるわ!」
と腕まくりしているパー子を見て あわてて笑顔を作るミチ子
ミチ子「あ、ううん 大丈夫 あの・・・パー子さん、パーマンは、1号は・・・」
パー子はハッとした。今まで さんざん誤魔化していた。彼が今 地球にいない事を
でも、自分と1号を取り合った仲のミチ子が、今だ1号を思っていないわけがない
ミチ子の気持ちが痛いほど分かる。
パー子「今まで黙っていてご免なさい。1号はね 今 遠い星にいるの、バードマン
ていう、パーマンよりもっと優秀な超人になるために、勉強しているの」
ミチ子「え、、、じゃあ」
パー子「ううん、いつかきっと帰ってくるわ もっとも1号はドジで鈍感だから
少し時間がかかるかもしれないけどね」
とわざとおおげさに肩を落としてみせるパー子にミチ子は笑う
ミチ子「でも、、、今のこともしかして聞いちゃいけなかったの?」
パー子「ええ、ホントはね だって悪者に1号がいないって分かられると困るでしょ?
だから、ミチ子さん
この事は絶対 秘密よ」
ミチ子「ええ わかったわ、でも パーマンは,1号は帰ってくるのよね?」
パー子「ええ、必ず帰ってくるわ 必ず」

2人の美少女が見つめ合っているとコピーミツ夫が通りかかる
コピー「あれ?パー子さん 久しぶりだね」
パー子「あら こぴー・・ じゃなかったミツ夫さん お久しぶり」
ミチ子「・・・ミツ夫さんていつもパー子さんの事(さん)て言ってた?」
コピー「え?うん そうだね パー子って呼びつけにするのは1号くらいだよ」
パー子「そうね、だってあたしにそんな呼び名つけたの彼だもん」
ひとしきりパーマン1号の話で盛り上がると それぞれ帰路に付いた
パー子は空を飛びながら首から提げたペンダントを取り出し ミツ夫の写真を見る
パー子「ミツ夫さん、、、早く帰って来て そうじゃないと私・・・」
ミチ子の涙、その涙の意味をパー子はいたいほど分かる 自分にとって1号がかけがえ
のない人であると同時に ミチ子にもそうなのだ。
コピーミツ夫が家に帰ると母親が青い顔をして電話の前に立ちつくしている
コピー「どうしたの?ママ」
ママ「ああ、、、ミツ夫さん、、、おじいちゃんが、、、おじいちゃんがね」
ポロポロ涙を流すママ ママの父親 ミツ夫やガン子のおじいさんが他界したという
バード星でミツ夫は宇宙地理の授業中だったが職員室に呼び出された。
そしておじいさんが亡くなった事を知った。バード星でも「人の命が亡くなる事を
何より悲しい事だという考えは変わらない」まして身内の死はとても大変な事だ。
ミツ夫は1週間地球に帰還し、家族と共に過ごすことをゆるされ その場で円盤に
乗り地球へ向けて飛び立つ ただし喪中の為の一時帰還だから絶対パーマン1号になったり
パーマン活動をしてはいけないという条件付きでのことだ。
おじいさんのお葬式に参列するミツ夫は、初めて袖を通すガクランの詰め襟がどう
にも苦しい。ミツ夫は中学の制服を着る前にバード星に旅立ったから、本当なら
とうになじんでいるはずの制服がやけに着にくいのだ。
葬儀も一段落してミツ夫は久しぶりの近所を散歩する、裏山やいつも遊んでいた公園
この公園 そういえば誘拐されたミチ子の身代金はこのベンチに置かれたんだっけ
そしてあの木の上で犯人を待ち伏せした。まさか、あの時は自分がバード星に旅立つ
なんて思っても見なかったな。
ミチ子「ミツ夫さん」
振り返るとセーラー服姿のミチ子が立っている。
ミツ夫「ミッちゃん・・・」
久しぶりに見るミチ子 彼女の制服姿を初めて見る 中学生の彼女は自分が
記憶している可愛らしい少女ではなくなっている。いや 勿論 彼女はカワイイ
ミチ子「あの、おじいさんがなくなられたんですってね・・・」
ミツ夫「うん、でも、まぁ仕方ないさ」
ミツ夫はミチ子を見て胸がいっぱいになった。本当だったらいろいろ話したい事が
沢山ある。
ミツ夫(久しぶりだねミッちゃん 会いたかったよ あの、キレイになったね)
声にしないでミツ夫はミチ子に見とれていた。
ミチ子はミツ夫を見て少し首を傾げた。いつも会っているミツ夫とどこか違う
体型だろうか?雰囲気だろうか?
ミチ子「変ね 違う人みたい・・・」
ミツ夫「え?なに言ってんだいボクだよ ミツ夫だよ〜」
とわざとおどけてみせるミツ夫にミチ子は笑う
ミチ子「ねぇ ミツ夫さん この間パー子さんに聞いたんだけど・・・パーマンって
遠いところに行ってるってホント?」
ミツ夫(パー子の奴・・・おしゃべりだな 悪人に聞かれたらどうすんだ!?)
ミチ子「あ、あの絶対 誰にも言わないわ ね、でもきっと帰ってくるのよね?」
ミチ子が懇願するようにミツ夫を見つめる
ミツ夫「え、ああ、うん 絶対 帰ってくるよ うん」
ミチ子「そう、そうよね!パー子さんもそう言ってた」
と胸に手をあて目を閉じるミチ子 ミツ夫は彼女の数歩前を歩き空を見上げる
ミツ夫(パー子 大丈夫かな?ボクがいなくなってからのパーマン活動、星野スミレ
としても大変だろうにな・・・)

そんな事を考え空を見上げる 制服姿のパー子が上空に浮かんでいるのを想像する
ミツ夫(アハ・・・まさか制服でパー着しないよなぁ 学校がどこだかわかったら
すぐ誰がパーマンかわかっちゃうもん、そういえばパー子の制服姿ってまだ
見たことないな)
ズボンのポケットの中に手を突っ込むミツ夫 それをミチ子が何気なく見る

ミチ子「あ!あれは」
思わず息をのむミチ子 ミツ夫のズボンのポケットからはみ出しているのはまぎれも
なくパーマン1号のバッジ
ミチ子(ま・まさか・・・)
ミチ子の中で様々な疑念がこみ上げる
ミチ子(まさか・・・ミツ夫さんがパーマン1号???)
でもそういえば、思い当たるふしが沢山ある いつも1号はミツ夫の家から飛び出して
いた、いつもミツ夫が1号を呼び出していたことも、いつも1号とミツ夫は同じ服を
着ていたことも・・・でも2人が一緒にいるのは何故?別人だから、ううん なにか
きっと秘密があるに違いない、そう替え玉がいるとか、そして今ここにいるのは
きっと本物のパーマン ミツ夫さん。
ミチ子(そうだわ・・・)
ミツ夫は相変わらず空を見上げてパー子の事を考えていた。バード星に旅だってすぐ
3ヶ月後、ミツ夫はパー子にペンダントを渡しに帰還した。2人の気持ちを確かめ合い
約束した。パーマン1号になって呼び出せば簡単に彼女に会える だが今1号になる
のは止められている。あくまで祖父の死去による一時帰還なのだ。
ミツ夫(会いたいなぁ パー子)
ミチ子は深呼吸すると、パー子の声を思い出し言う
ミチ子「1号」
ミツ夫「パー子?」
振り返ったミツ夫をミチ子が目を見開いて立ちつくしている。何かを知ってしまった
とでも言う顔をしている。ミツ夫はあわてて言い直す
ミツ夫「あ、なんだミッちゃん あはは1号は今も言ったとおりそのうち帰って来るよ」
くらい部屋の中でミチ子は だまって机の前に座っていた。
ミチ子「パーマンは、パーマン1号は ミツ夫さんだったんだわ」
いつも学校で会っているミツ夫はもっと、どこかのんびりしている。それになにより
パー子の事をパー子さんと呼ぶ、パー子を呼びつけにするのは1号だけ、
ミチ子「パーマンがミツ夫さんだったなんて」
ショックだった。ドジで運動も成績もパッとしない幼なじみのミツ夫が、スーパー
ヒーローパーマン1号、あのあこがれのパーマンだったなんて、でも、そんなミツ夫が
パーマンになって様々な事件や事故に対処し、何より殺されそうになった自分を
助けてくれたのだ。決して勇敢ではない彼が、火事や事故や、災害で助けを求める
人を助けに行くのにはどんなに強い意志が必要だっただろう。
そう思うとミチ子は胸が熱くなるのを覚えた。私を助けてくれたのは、
ミチ子「パーマン・・・ミツ夫さん・・・」
ミツ夫は自室で久しぶりにコピーと語り合った。記憶交換バンドでおたがいの
近況は知っているモノの、実際に会うのはやはりずいぶん久しぶりだ。
ミツ夫「ユキちゃんとは文通してるのかい?」
コピー「うん たまに電話もしてる、元気そうだよ」
コピーの恋人ユキは転校してしまい、今は遠距離恋愛だ。
コピー「遠距離恋愛ってけっこうつらいね、君の気持ちわかるよミツ夫くん」
ミツ夫「ちぇっ、当たり前だろ
君はボクのコピーなんだから」
とおでこを軽くこづきながら笑うミツ夫
コピー「せっかく帰還したのにパー子さんに会わなくていいの?」
ミツ夫「うん、、、仕方ないさ 今は1号になれないから、パー子を呼び出せないよ
まさか星野スミレを出せってテレビ局に電話するわけにはいかないだろ?」
苦笑するミツ夫 さっき会ったミチ子の変な行動はすっかり忘れていた。相変わらず
女性の細かいしぐさや心理変化にはまったく疎い。
階段の下からガン子が呼ぶ
ガン子「おにいちゃーん」
ミツ夫「なんだよガン子」
顔を出すと玄関にミチ子が立っている、下を向いて何か思い詰めている様だ。
ミツ夫「あ、ミッちゃん どうしたの?」
ミツ夫が階段を下りて行くとガン子は応接間の方へ姿を消す
顔を上げたミチ子が涙を浮かべてミツ夫の胸に飛び込むとはっきりした声で言う
ミチ子「ミツ夫さん・・・私、私 ミツ夫さんが好き」
びっくりしているミツ夫の背中をガン子は見逃さなかった。別に立ち聞きする気
などなかったが聞こえてしまった。愛の告白を受けた兄の背中はいつにもまして
なんだか頼り無げだ。
ガン子「しっかりしなさいよ おにいちゃん」
ガン子は内心 そう思いながらそっと応接室に入ると、なんとママとパパもこっそり
その様子を聞いていた。
ガン子「ママ・パパ」
ママ「しっ」
パパ「あ、いや・・・なんでもない さ、ガン子早くこっちに来なさい」
ミチ子と2人外に出るミツ夫 長年のマドンナ あこがれのミチ子が帰還した
ミツ夫に、愛の告白 ミチ子はパーマンにあこがれていたんじゃないのか?
でも、今 ミチ子ははっきり「ミツ夫が好き」だと言ったのだ。
ミツ夫「あの、えっと・・ミッちゃん・・・」
ミチ子「ごめんなさい、急に、、、びっくりしたでしょ?」
ミツ夫「え、う、うん、、、でもうれしいよ」
ミチ子「ホント!? ホントに ホント??」
ミツ夫「うん そりゃあそうさ、だってボクずっとミッちゃんの事 好きだったもの」
ミチ子「うれしい!!」
とミチ子はまたミツ夫に抱きつくとパッと離れて走り去る。
ミチ子「じゃあ、また明日!」
手を振り走り去る彼女を茫然と眺めていたミツ夫 やがて飛び上がって喜ぶ
ミツ夫「やった・・やった〜!ミッちゃんが、ボクを好きだって パーマンじゃない
ミツ夫を!!」
家に帰り意気揚々とコピーに今の事を話すとコピーは憮然として言う
コピー「で、どうするの?」
ミツ夫「え?あ、そうだな ボクがいない間はミッちゃんとデートしてくれよ
まさかボクがバード星に行ってるなんて言えないもんなぁ うひゃぁミッちゃん!」
舞い上がっているミツ夫をコピーは肩を落として言う
コピー「まぁ・・・ボクは、君のコピーだから、、、ユキちゃんは今いないし、、
代理としてミッちゃんとつきあうのは良いけど・・・」
ミツ夫「なんだよコピー そりゃあユキちゃんには悪いけどさ、うひゃひゃ」
コピー「ミツ夫くん・・・やっぱりミッちゃんの方が好きなの?」
ミツ夫「ミッちゃんが好きかだって?きまってんだろ」
コピー(そうじゃなくてパー子さん、スミレちゃんの事をボクは言ってるのに・・・)
舞い上がっているミツ夫 こんな時の彼には何を言っても無駄だ。テレビのスイッチを入れるコピー
コピー(しばらくしてからまたパー子の事を言おう、今はテレビでも見みよ)
テレビでは激しいカメラのストロボ フラッシュの嵐、中には制服姿の星野スミレと
同じ学校の制服を着た美小年彦がならんで座っている。この2人 ドラマの共演を
する事も多く、なにより同じ学校の同じクラスで、超人気アイドルというウワサの的
レポーター「なんと なんと!美小年彦くんと星野スミレちゃんがラブラブ熱愛宣言」
凍り付くコピー、舞い上がっていたミツ夫が万歳したまま固まっている。
コピー「み。ミツ夫くん?」
レポーター「2人がなにかとウワサになっていましたが、今回2人の口から
ハッキリと熱愛宣言がされました!」
レポーター「美小くん スミレちゃんの事はいつから好きだったの?」
美小「え、もう。。。ずっと前から好きでした 可愛くてやさしくて、」
クールな美少年が売り物の彼がデレデレになって答えるとスミレはモジモジと
となりの彼に視線を投げる。
レポーター「ねぇねぇ スミレちゃん確か前に歌番組で好きな子がいるって
もしかして美小くんの事だったの?」
スミレ「あ、、、いいえ、あの時は別の人が好きだったんです。でも、ずっと会えなくて」
ミツ夫は相変わらず万歳したまま固まっていた。
ミツ夫(ずっと会えなくて・・・)
自分の事を言われているのが鈍感なミツ夫にもわかった。
レポーター「遠距離恋愛って事?そっか、で、段々 彼より美小くんが好きになって
来たんだね」
スミレ「ええ、、、」
苦しげに答えるスミレ そのスミレの手をやさしくにぎる美小年彦 カメラは
ベストショットとばかりに2人を撮りまくる。
暗い部屋の中でミツ夫はいつまでもだまっていた。コピーはそんな彼をただ見つめて
いた。コピーはユキだけをずっと思ってきた。だからミツ夫の悩みがつかみかねる
彼のコピーなのに、その辺りはどうしたわけかコピーされなかったようだ。
ミツ夫は頭の中でグルグル考え込んでいた。
ミツ夫(パー子の奴!ボクと約束したのに・・・そうさ美小年彦はパー子を知らない
からだまされてるんだ。星野スミレはパー子なんだぞ、お転婆で気が強くて、
滅茶苦茶で、、、でもってちょっとカワイイ・・・パー子の奴 約束したのに・・・
でも、、、ボクはさっきミッちゃんを思ってた。そうさ これでうまく行くじゃない
だって、きれいに四角形な関係)
そう思うとなんだか目の前がゆがむ、うっすらと涙が浮かぶ
ガバッとベットから起きあがるミツ夫
コピー「ミツ夫くん」
ミツ夫「コピー・・・ボクは、なんてイヤな奴なんだろう」
コピーにはミツ夫の気持ちが分かったが自己嫌悪している彼を、どうなぐさめたら
いいかわからない。ミッちゃんは長年のミツ夫の思い人だったのもコピーは良く
知っている。そしてパーマンになってからのパー子とのいきさつも ミツ夫が
パーマンになり得た、勇気や知恵や、成長 その中にパー子との微妙な関係の
変化も、バード星に旅立つ間際までさんざん「自分はミチ子が好きなんだ!
誰がお転婆パー子なんか!」と言い続けた心の葛藤も、ミツ夫は真剣に2人の事が
好きなのだ。でも、両方好き!なんて事は勿論 ゆるされない。小学生ならそれも
ゆるされるだろうが、もうみんな中学2年生なのだ。大人社会に片足をつっこんでいる
勿論 今 将来の伴侶を選べと言われている訳ではないけど、でも、大切な人を今
ここで一人にしぼらねばならない、いや、現状 今 ミツ夫とミチ子
パー子(スミレ)と美小年彦という2組のカップルが成立しているのだ。ミツ夫が
悩む事ではない。問題はミツ夫がどうやってスミレを、パー子への思いをうち切るか
ミツ夫「パー子・・・パー子・・・」
さっきのスミレの苦しげな表情がミツ夫の脳裏に焼き付く。彼女も簡単に自分との
約束を捨てたわけではない。それを物語る 苦しげなあの表情
ミチ子もまたテレビで同じ報道を見ていた。ミツ夫(1号)とカップル成立した自分
あこがれのスミレちゃんも同じ時期に美小年彦とカップルが成立。
ミチ子「よかったわね スミレちゃん」
ニッコリしながら見ているミチ子、スミレの言う遠距離恋愛をこれから自分が強い
られる、パーマン(ミツ夫)は遠い星に行くんだから
そう、今 彼がパーマンにならないって事は、おじいさんのお葬式に出席する為に
一時的に帰還しているのだろう、そうじゃなければ連日連夜の事故や事件に
彼がパーマンになって飛び出さないわけがない。
ミチ子「スミレちゃん、貴方の分まで私が遠距離恋愛 がんばってみるわ」
同性としてスミレの苦しげな表情からどれだけ「好きだった人」が大切な人だったの
かを察すると同時にそんな事を思うミチ子
ミチ子(でも・・・ミツ夫さんがパーマンだって知ってるって事 パーマンには
言えないわね、だって正体がばれたら大変な事になるっていつも言ってたもの、)
頭のいいミチ子はそう気遣うと、ちょっとしたヒロイン気分だ。そしてミチ子は
もう一人のヒロインを思い出す。
ミチ子「パー子さん・・・」
パー子はミツ夫をパーマンだと知っていたのだ。自分が気が付くずっと以前に、
パー子はずっとパーマンを思うと同時にミツ夫としての彼の事も思っていたのだ。
今の自分と同じに・・・1号(ミツ夫)にとってもパー子は大切な女の子に違いない
でも、ミツ夫は、パーマンは自分が好きだと言ってくれた。
ミチ子「ごめんなさいパー子さん・・・」
ミチ子はパー子にあこがれていた。同年代の女の子でスーパーガール お転婆だけど
さっぱりした気性。自分にはないモノを持ち合わせている彼女とさんざん1号をとり
あっていたが、密かに彼女を尊敬もしていた。パー子も1号が帰還するのを
ずっと待っているのだ。
翌日ミチ子は朝早くからミツ夫に電話をするとデートの誘いをする。いつまで
本物のミツ夫(パーマン)が地球にいるのかわからない。でも少しでも一緒に
いたい。
ミツ夫は複雑な表情で家を出ていった。ミチ子は待ち合わせ場所でニッコリ彼を
迎えると腕を組んで来る。
ミチ子「今日は私と一日 おつきあいしてね」
ミツ夫「う。うん」(やっぱりミッちゃんは可愛いな)
遊園地に出かけると2人で楽しいひとときを過ごす アイスクリームを嘗めて
幼い頃の思い出 話に花をさかせる
幼稚園の時ミチ子は「ミツ夫さんのお嫁さんになる」
なんて言ったんだっけね、とコロコロ笑う ミツ夫はその言葉を真剣に
とらえていたのだ。「そっかミッちゃんはボクが好きなんだ」
パーマンが登場するまでミチ子はずっと自分が好きなんだと思っていた。
でもパーマン(自分)が登場したとたん彼女の愛情はもう一人の自分パーマンに
向けられた。自分に嫉妬する?そんな変な葛藤がミチ子への思いと重なって複雑に
なっていった。
と、ジェットコースター近くで人が群がっている。見に行ってみると何かの
撮影らしい
ミチ子「あ、スミレちゃんと美小くん」
ミツ夫「え・・・」
立ち止まるミツ夫 ミチ子は人混みの中背伸びをして撮影シーンをのぞき込む
ミチ子「デートしてるのかしら?でも、これはドラマの撮影よね、」
監督「カット カット!美小くん ここにスミレの元彼が現れるんだから
もっと驚いてふりむいてくれなきゃ」
その時 スミレのポケットからパーマンバッジの呼び出し音 スミレはそっと女子
トイレに駆け込むと、やがてコピースミレがもどってくる。ミツ夫はパー子の姿を
追った。上空でバッジに応答している。
パー子「はい こちらパー子 今そっちに行くわ」
パー子は下の撮影を見下ろすと見上げているミツ夫と目が合う
パー子「ミツ夫さん? コピーよねぇ??」
下に降りて確かめようか?と思うが
パーヤン「早く来て〜な パー子はん」
パー子「あ、急ぐわね」
ミツ夫はパー子の姿を見上げ 唇をかみしめる。
相変わらず機敏な行動 忙しさに負けないパワフルなパー子
ミチ子「ねぇ ミツ夫さん・・・あ、パー子さん」
人混みから戻ってくるミチ子が 上空を滑走していく彼女を見上げているミツ夫を
見つめる
ミツ夫「あ、ごめんボーっとしちゃって」
頭をかくミツ夫、ミチ子は彼の気持ちがハッキリ自分にあるのか不安に思った。
パー子を見上げていたミツ夫の顔には、パー子への思いが込められていた。
仲間を思うパーマン1号としてのそれとは違う、特別な女性を見る目、ミチ子に
ラブレターをくれる男性の、その目と同じ目をしてミツ夫は パーマンはパー子を
今見つめていた。
ミチ子「ねぇ ミツ夫さん パーマンってパー子さんの事どう思ってたのかしら?」
ミツ夫「え?どうって」
ミチ子「うん、だから、、、好きとか嫌いとか」
ミツ夫「あっは、パーマンはパー子の事なんかなんとも思ってなかったよ、お転婆で
気が強くてとても女と思えないって良く ボクにこぼしてたもん、パーマンは、
ミッちゃんが好きだったんだよ」
ミチ子「そうかしら?」
ミツ夫「そうさ、パーマンはミッちゃんの事 すごーく気に入ってたもん、パー子と
大違いだ〜っ て」
ミチ子「でも、パー子さんはパーマンの事好きだったわ」
ミツ夫「そんなこと・・・だって、だったら」
(だったら約束を破らないハズ、だったら自分を待ってるって言ったのは・・・)
言葉につまるミツ夫がふと顔を逸らし空を見上げる うっすらと涙が光っている
ミチ子(やっぱり・・・やっぱりミツ夫さんは、パーマンはパー子さんの事を)
ミツ夫と別れてからミチ子は部屋に引きこもって出てこない。やっぱり・・・
やっぱりパーマンは、ミツ夫さんはパー子さんが好きなんだわ、今でも、今も、
あの目、あの目が全てを物語っている。自分にラブレターをくれる男の子達の
あの目、交際を申し込んでくれた先輩の目と同じ、大切な女性を見る 熱い眼差し
ミチ子ママ「ミチ子 電話よ テニス部の方から」
ミチ子「はい、ミチ子です」
先輩「あ、あのミチ子くん えっと緊急連絡なんだ あの休み明けに急にY中との
試合が決まって、それで君に出場して欲しいんだけど、、、いいかな?」
ミチ子「せ、先輩・・・」
気まずそうな声で電話をしてきた あこがれの先輩 緊急連絡のために仕方なく
自分に連絡をしてきた先輩、休み明けまでに自分との交際を考えてと言われた
あのやさしい目 やさしい声
ミチ子「せ、先輩。。あたし、、、あたし」
涙声になるミチ子 電話の向こうで先輩が驚いているのが分かる
ミチ子「あたし、あたし フラれちゃったの ずっと好きだった人に・・・」
先輩「み。ミチ子くん え?だ、大丈夫か? あのちょっと出て来れない?電話じゃ
よくわかんないよ」
公園でミチ子を待っていてくれる先輩 彼を見ると涙がとめどなくこぼれる
先輩はだまってミチ子の肩を抱くと何も言わないでやさしく見つめている。
ミツ夫はミチ子とのデートから帰って来ると部屋にある星野スミレグッズをかき
集める、コピーも無理矢理手伝わされる
コピー「どうするのさ、これ」
ミツ夫「全部 捨てる いや、焼く」
コピー「ええ?もったいない」
ミツ夫「いいんだ!もう スミレなんて、、、パー子なんか」
肩が震えている、ミツ夫は泣いているのだ。コピーはそんなミツ夫に言う
コピー「いい加減 意地をはるのはよせよ、君が好きなのはミッちゃんでも
スミレちゃんでもなく パー子さんなんだろ!?」
ミツ夫「コピー・・・!?」
コピー「パー子さんに会って確かめもしないでいいのかい?」
ミツ夫「そんなこと!」
とコピーの鼻を乱暴に押すとベットにふて寝するミツ夫
もう、休暇は明日で終わりだ。明日になればバード星に帰らなければいけない
あとの事はコピーがミチ子とうまくつき合ってくれればそれでいい、スミレは
パー子は美小年彦とうまくやっていけばいい。
パー子は自宅マンションに帰るとコピースミレにミツ夫を見かけたと話す
パー子「でも、きっとコピーよ だって1号が帰ってくるわけないもの」
コピースミレ「そうなの?なにかあって帰ってきたんじゃないかしら・・・あ、
ねぇスミレちゃん、今度のドラマ コピーミツ夫さんに話しておかなくて良いの?」
パー子「え?」
コピースミレ「ほら、ドラマの宣伝用記者会見 ファンの何人かがホントだと思って
大変だったじゃない?」
パー子「あはは 私の迫真の演技にみんな美小クンと私がカップルだって思っちゃっ
たやつね・・・あ!!コピーの記憶交換バンドで、ミツ夫さんがあれを見たらきっと」
コピースミレ「ね、絶対 勘違いしちゃうわよ」
パー子「あ、あたしちょっと行って来る」
と須羽家に行く途中 またもパーマンバッジの呼び出し音 事件発生にパー子は
須羽家から反対方向に飛んでいく
翌日 ミツ夫はコピーを須羽家に残し円盤に乗り込む。
コピー「いいのかい、ミツ夫くん」
ミツ夫「なんの事さ、あとは頼むぞコピー また当分もどれないから」
空に舞い上がる円盤
大気圏を通過途中 急に降下する円盤 1号は一路 スミレのマンションへ向かう
その頃 パー子はコピーの鼻を押すと飛び出していく
パー子「あたし 須羽家に行って来る、その衣装に着替えて、マネージャーが
もうすぐ迎えに来るから テレビ局で入れ替わりましょ」
スミレコピーが着替えていると窓の向こうから聞き覚えのある男の子の声
1号「パー子!パー子!!ボクだ 1号だ」
スミレコピー「え!あ、パーマン!?」
窓ガラスが開く あわててカーテンを押さえるスミレコピー
スミレコピー「あ、やめて 開けないで今着替えてるの」
1号はあわてて窓から真っ赤になって飛び退く
1号「あのな パー子!いくら君が星野スミレでも、美少女アイドルでも中身は
パー子なんだから お転婆で気が強くておしゃべりなパー子なんだぞ!!パー子には
ボクしかいないんだ!! ボクはもうバード星に帰るからちゃんと約束守ってまってろよ!!」
コピースミレ「あ、あの私はコピーなのよ」
とカーテンを開けて言うコピースミレ 円盤は空の上に小さく光って消えていく
一方 パー子は須羽家でガン子にとんでもない事を聞かされる。
ミチ子がミツ夫に告白して 昨日もデートで遊園地に出かけたと言うのだ。
パー子はコピーミツ夫を問いつめると、その通りだと言われる しかも1号は
葬儀に出席するため帰還していた 昨日 見かけたミツ夫は本物のミツ夫
だったのだ。
パー子「ナンですって!!」
コピーミツ夫「で、でも あの、パー子さん ミツ夫くんはパー子さんの事・・・」
(パー子の事がやっぱり好きなんだよ)と言いたかったのにそれを聞かずにパー子は
飛び出していく
沢田ミチ子宅に飛び込むパー子
ミチ子「あら パー子さん どうしたの?」
パー子「あ、あの ミチ子さん ミツ夫さんとつき合ってるって、1号が・・・」
ミチ子「やーね パー子さん 変なこと言わないで 私今 おつきあいしている人が
ちゃんといるのよ、ミツ夫さんはただの幼なじみ」
パー子「え、だって あの・・昨日」
ミチ子「ああ、遊園地の事言ってるの?そりゃあお友達だもの一緒に遊んだりも
するわ、でも今 私が好きなのはこの人よ」
とミチ子のそばにルックスの良い少年が座って紅茶を飲んでいる
パー子にニッコリ微笑みかけると軽く会釈する。
パー子「え、でも 1号 いえ ミツ夫さんが・・・」
ミチ子「ええ、私 パーマン1号が好きだったわ でも、今は先輩が一番好き」
と頬を赤らめ先輩を見る 先輩も赤くなってミチ子を見る
ミチ子「安心して もう私パーマン1号の事なんとも思ってないから
パー子さん 1号が帰ってきたら仲良くね」
やさしくもどこかクールなミチ子の笑顔に毒気をぬかれたパー子はフラフラと
上空を飛んでいる それを見上げてミチ子は思う
ミチ子「お幸せにね パー子さん パーマン(ミツ夫さん)とあんまりケンカ
しちゃ駄目よ」
そのミチ子の側に先輩がよりそう
テレビ局に飛んでいくパー子
コピースミレとおでこタッチでパー子はベランダ越しの1号の悪態?愛の告白?を
知り 赤くなる。
数日後バード星でコピーから送られて来た 記憶交換バンドを巻いたミツ夫が
例の美小年彦と星野スミレとの熱愛宣言がドラマの宣伝だと知らされると同時に
ミチ子に別の恋人が出来たことを知らされる。
ミツ夫「そんな ミッちゃん・・・」
と複雑な気持ちになると同時にちょっとホッとする。
ミツ夫「あっ でもパー子の奴 きっとボクの事笑ってるだろうなぁ」
と腕を組むミツ夫 マンションのカーテン越しに「お転婆パー子にはボクしか
いない」なんて言っちゃったもんなぁ
と、自室の机におかれたパー子の写真を見るミツ夫。写真の中のパー子は
屈託のない笑顔をミツ夫に向けている。
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