朝日ヶ丘スミレ団

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■ ないしょ

さわやかな風が流れる、河原のキャンプ場 ミツ夫・サブ・カバ夫・ハル三・ミチ子は、ミチ子の父親に連れられて2泊3日のキャンプを楽しんでいる
サブ「うわっつ!!凄いひきです〜」
釣り糸をたらしている男の子達の中で サブに大物がかかったらしい みんなで手伝って釣り上げたニジマスは30センチ以上ある大物
ミチ子「すご〜い!!」
サブ「えへへ」
カバ夫「やるな〜 サブ よし!俺も」
とみんなでその後も釣り糸を下げるが その後は特に大物を釣り上げた者はいない ミツ夫に関しては一匹もかからないありさま。
カバ夫「よーいっしょ!!」
とキャンプ場ではなにかと力仕事が多い 力自慢のカバ夫が何かと役にたつ
ミチ子「カバ夫さんがいてくれて助かるわ」
と重いクーラーBOXをかかえてミチ子の側に来たカバ夫をミチ子がニッコリしながら賛美すると カバ夫はデレデレになる。
ミツ夫「なんだい カバ夫の力なんて・・・」
そういいつつ水の入ったペットボトルをいっぺんに5本持とうとして転ぶミツ夫 みんなに笑われ かえって恥をかくありさま。
ミチ子「まぁ、きれいなキノコ」
ハル三「あ!ダメだよ それにさわっちゃ」
河原の側にある林の中を歩いている時、赤い笠にアーモンドのついたような綺麗なキノコを見つけたミチ子が手を伸ばすのをハル三が止める
ハル三「それは毒キノコだよ だいたい綺麗だと毒があると思っていいよ」
ミチ子「そうなの、ありがとうハル三さん」
と危機を救ったハル三も株を上げる とまたもミツ夫は今 ハル三が触るのを止めたキノコを持って反対の方からやってくる
ミツ夫「ほら ミッちゃん きれいなキノコ」
まったくいいとこを見せられないミツ夫 なんとかミチ子にミツ夫としての良さを
アプローチしようとしても失敗ばかり
ミツ夫「あ〜あ・・・こんな事なら来なきゃ良かった」
と夜中トイレに起きたミツ夫の耳に遠くから女性の声が聞こえる
女性「あ〜〜〜〜・・・♪」
発声練習をしているのかな? 歌のようにも聞こえる なんとなく寂しそうで少し胸が切なくなる。翌日 顔を洗う男の子達 昨日の女性の声の話になる
カバ夫「あれって、やっぱ幽霊かな?」
サブ「そうですね カバ夫くん」
ハル三「ボクは幽霊だとしたらローレライだと思うな」
ミツ夫「ローレライってなにさ」
ライン川のほとりで美しい声で船乗りを魅了し 船を沈めてしまう美しい幽霊の話しをハル三はみんなに話す
カバ夫「へ〜 美人の幽霊ならあってみたいな」
サブ「そ・そうですか?」
幽霊と聞いてすでにびびってるサブ ハル三は自分でローレライの話をしながら否定する
ハル三「幽霊なんて 非科学的な事ありえないよ」
ミチ子「みんな〜 朝ご飯の支度ができたわよ」
朝食をとると ミチ子の父がすまなさそうに言う 携帯電話で仕事の呼び出しをされ会社に戻らなければいけないというのだ でも夕方には戻るからそれまでみんな気を付けて遊んでてくれ との事。
ミチ子の父「あ、それからこの山の上には登らないように 古い屋敷があるけど絶対勝手に入ったらダメだぞ」
みんな「は〜い」
返事がいいのは子供がいけないと言われたことをやろうとしている時だ。
古い屋敷 昨夜の女性の声 もうこれは探検しに行くしかない
ミチ子「ワクワクしちゃうわね」
ミツ夫「ミッちゃんて結構 冒険好きなんだね」
カバ夫「うっわ〜 すっげ〜な」
サブ「ふう ふう つかれましたね〜」
ハル三「ボクの家の別荘と同じくらい広いな」
山道を1時間ほど 歩いて目的の屋敷につくと ハル三は自慢げにそういう、広い中庭には噴水の後があり、赤い煉瓦で敷き詰められた庭には花壇がある でも誰も住んでいないようで、草が生い茂り荒れている 白い壁の屋敷の窓はどこも全部しまっていて人気はない。
ミチ子「ステキ〜 こんな所に住んでみたいわ」
ミチ子の感想の通り ちょっと乙女チックな外装ではある 男の子達はひそかに夜中この屋敷に来てみようと誰ともなしに言い出した。
夜になり テントからモゾモゾと4人は懐中電灯を片手に抜け出す
ミツ夫「ミッちゃんは行きたくないかな」
カバ夫「ばか!ミッちゃんのお父さんに気がつかれるだろ」
サブ「そ、そ〜ですよ だいたい女の子がいたら足手まといになります」
ハル三「さ、行こ あの声の正体をつきとめよう」
男の子達は懐中電灯を手に手に山道を歩いていく 最初 威勢の良かったメンバーも
夜の山道にだんだん 恐怖心が増してくる フクロウや コウモリといった山鳥の声 血を吸いに蚊が群がってくるのにも閉口する
女性「あ〜〜〜〜・・・・♪」
4人はギョッとして立ちすくむ あの声だ 昨夜も聞こえてきた もの悲しい歌声
顔を見合わせる4人 サブはすでにがたがたに震え上がっている
サブ「か・か・カバ夫くん ぼ・ぼく・・・やっぱり行くのよそうかな」
ハル三「そ、そうだね だいたい幽霊なんているわけないし」
カバ夫「ここまで来て 引き返せるもんか なぁミツ夫」
ミツ夫はカバ夫の側で固まっていた。
カバ夫「なんだよミツ夫 弱虫だな」
ミツ夫「ち ちがうよ ホラ!」
と指を指すミツ夫 目的の屋敷の窓にぼんやりと明かりがついている
サブ「ぎゃあ〜〜〜っつ」
最初に 悲鳴を上げて山を駆け下りていったのはサブ
ハル三「こ、これはなにか か 科学的 根拠が」
歯の根のあわないハル三が震えながら言い訳をする
カバ夫「とにかく行ってみようぜ」
ミツ夫「うん」
三人になって屋敷の前まで来るが 門の前でハル三は窓の明かりがフワフワ移動するのを見て 二番手に山を駆け下りキャンプ場へもどる カバ夫はミツ夫に負けてなるものかと必死に恐怖と闘っていた。
カバ夫「み・ミツ夫 イヤなら引き返してもいいんだぞ」
ミツ夫「ここまで来て何言ってるんだい」
と門をくぐり抜け 屋敷の中に入っていくミツ夫をカバ夫はあわてておいかける
カバ夫「おい、み ミツ夫」
屋敷のドアを押すとにぶくきしんで中に入れる 広いホールのような玄関 赤いジュータンがひいてある 中は以外とキレイだ
女性「あ〜〜〜〜・・・」
という声とトモにポロロロン・・・というピアノの音 カバ夫はもう我慢できない
カバ夫「ぎゃあああ〜〜〜っつ!!」
悲鳴を上げて出ていくカバ夫 一人残されたミツ夫 ミツ夫だって実は怖い ただ怖いより好奇心の方が先立っていた。
ミツ夫「こ・怖いもんか ボクはパーマンなんだぞ」
自分に言い聞かせると 声のする2階に上がっていこうとする 上から誰かが降りてくるギシッ ギシッ ろうそくが揺れ足音はミツ夫に近づいてくる
ミツ夫「!!!」

翌日 目を真っ赤にしている カバ夫 サブ ハル三の元へ やっぱりボ〜ッとしながらミツ夫が帰ってくる
カバ夫「おい ミツ夫 大丈夫か?しっかりしろ」
ミツ夫「う・`う〜ん」
サブ「ゆ・幽霊に取り憑かれたんじゃ・・・」
ハル三「ま まさか・・・そんな」
帰りの車の中でもミツ夫は正気にもどらない もっとも 元々ボーっとしている事が多いからミチ子は全然 気にしていない ただ事情を知っている男の子達はふるえが止まらない
カバ夫「ミツ夫の奴 大丈夫かな」
サブ「カバ夫くんなんで一人で逃げてきたの」
ハル三「そうだよ・・・み ミツ夫が かわいそうじゃないか」
自分の事を棚にあげて言う2人 ミツ夫はボーっと窓の外を眺めながら昨夜の出来事を思い出す。

階段の足音がもうすぐ前まで来たとき ミツ夫はすぐに逃げ出すことが出来なかった
足がすくんで動かない それくらい怖かった 足音は自分の前でとまる 目をぎゅっと閉じる と、すっとんきょうな声がする
「み・ミツ夫さん!?」
幽霊に知り合いはいない でもこの声は聞き覚えがある そうだ・・・彼女だ
ミツ夫「ぱ・パー子?」
とミツ夫は思い切って目を開け懐中電灯を足音の主に向ける と、そこには懐中電灯の光をまぶしそうにさけている 星野スミレが立っていた
ミツ夫「す・スミレちゃん?? なんで君がここに?」
スミレは片手に燭台を持って 黄色いノースリーブのワンピース姿で立っている、肩の所がリボンになっていて彼女のきゃしゃな肩から腕がすんなり見えている よく似合っているなとミツ夫は思う
スミレ「ここは私の家の別荘よ ミツ夫さんこそ どうしてここに??」
ミツ夫「ぼ・ボクはその・・・スミレちゃんなんでボクの名前知ってるの」
ハタと気が付きミツ夫はスミレに聞く スミレは後ろ手に持ったパーマンセットをにぎりしめながら あわてて言う
スミレ「あ、あのパー子さんからいろいろ聞いてるのよ パーマン1号のお友達の
ミツ夫さんはとってもカッコイイって・・・」
勿論 最後の言葉はおセイジだが ミツ夫はデレデレになって喜ぶ
ミツ夫「にゃはははは パー子がそんなことを・・・」
スミレ「でも おっちょこちょいで 鈍感だって」
しら〜っとしながらいうスミレ へコ〜ッとなるミツ夫 憤慨する
ミツ夫「パー子の奴!」
スミレ「ねえ どうしてここにいるの?」
ミツ夫はお化け屋敷だと思って探検しに来た事を話すとスミレは口をとがらせるが
自分の声をローレライに例えられていたと知り まんざらでもないようだ。
ミツ夫「スミレちゃんどうして一人で こんな・・・あ いや あの」
口ごもるミツ夫 こんな夜中に付き人もいないで別荘にいるの?と聞きたかったが
なんだか聞いちゃ悪い気がする
スミレ「たまにね・・・たまに一人になりたい時 パー子さんに連れてきてもらうの」
寂しそうな横顔だ アイドルスターの星野スミレの素顔とでもいうのか
ミツ夫(スミレちゃん ホントは寂しいんだな)
ミツ夫にはスミレの寂しさがわかる気がした。自分もパーマンになった時とミツ夫の
時のギャップに悩まされる ましてスミレは星野スミレという仮面をはずすわけにはいかないのだ、たまに一人になりたい時もあるのは当然だ。
ミツ夫「あ、邪魔しちゃ悪いや」
と帰ろうとするミツ夫の手をとり スミレはひきとめる
スミレ「あのせっかく来たんだし 遊ばない?]
ミツ夫「え、でも一人になりたいんじゃ・・・」
スミレ「そうだったんだけど さっきすごい悲鳴聞いちゃって ちょっと一人じゃ怖いし」
すごい悲鳴とはカバ夫の声だなとミツ夫は苦笑する

スミレ「それともミツ夫さんは帰りたい?」
と首を傾げて聞くスミレ 何とも可愛らしい
ミツ夫「ううん!!」
首を横にふるミツ夫 スミレちゃんと2人きりで遊ぶなんて願ってもないチャンス
スミレ「よかった 私一回ミツ夫さんと遊んでみたかったの」
これはスミレ=パー子の本音だった。マスクをつけた常態では何度か遊んだことがある でもマスクをつけると1号も3号もどうも性格が豹変してしまう パーマンの仕事では強気な性格になるのは必要不可欠だが、一度 素顔の1号と3号 ミツ夫とスミレで遊んでみたかった。アイドル星野スミレではなく 一人の女の子として
 素顔なら素直になれる気がした。そう 今夜なら素直に意地を張らずにいられそうだ。
ミツ夫はあこがれのスミレにそんな事を言われて ドギマギするが スミレのくったくのない笑顔を見て 考えを改めた ここにいるのはアイドル星野スミレではなく 同い年の可愛い女の子なんだと、スミレが望んでいるのは一人の女の子として扱って欲しいと思っていることがミツ夫にはわかった。
ミツ夫「じゃあさ!探検ごっこしようよ」
「〜ごっこ」なんてミツ夫だってここ最近まったくしなくなった遊びだ でもなんかわざと子供じみた事をしたかった。スミレは幼少の頃から芝居を学んでいたが
(〜ごっこ)なんて遊びはしたことない ミツ夫は軽いお芝居の設定を考える
ミツ夫「ボクとスミレちゃんは同級生で、2人で探検クラブを作ってるんだ で今夜はこの古い屋敷に探検に来た」
スミレ「うふふ 面白いわね それで?」
懐中電灯を片手にミツ夫は暗い屋敷の中をスミレの手をとり歩きながら話す
ミツ夫「ここは地元の人も怖がって入らない幽霊屋敷 ほら!そこに白い影が」
とカーテンに懐中電灯をあて いかにも幽霊が出た時のように声を上げる
スミレ「きゃ!」
スミレも素人っぽい悲鳴を上げて ミツ夫にしがみつく顔と顔がすぐ近くにある

2人ともハッとして離れる
スミレ「あ、あの、、、花火でもしない?」
ミツ夫「あ、いいね やろ やろ〜」
中庭に水の入ったバケツを用意すると 花火に火をつける ミツ夫はわざと花火をグルグル回したり ネズミ花火で2人で追いかけっこをしたりした。スミレもこんなにはしゃいだのはずいぶん久しぶりだ。
スミレ「きゃ〜 いや〜ん こっちに来る〜」
ミツ夫「あははは うわっつ! あちち」
スミレ「きゃははは ミツ夫さんたらドジね〜」
ミツ夫「言ったな〜」
と追いかけ回す こうして遊んでるとずっと前からの友達みたいだ いつもテレビや
コンサート会場でみる アイドル スミレよりずっと好ましい女の子が今 ミツ夫の前で笑い転げている
線香花火の最後の火が消えるとなんだかしんみりしてしまう ミツ夫はバケツに入った水をわざとスミレの足下にひっかける
スミレ「きゃっ!何すんのよ」
と一瞬 パー子モードになるスミレはハッとするが ミツ夫は気にせずケタケタ笑う
その後も朝がしらじら開けてくるまで 2人は学校の事や 友達のこと パーマンの事も話す 
スミレ「パー子さんはね たぶん1号の事が好きなのよ」
ミツ夫「え〜 うそだ〜」
といいながら悪い気分ではなさそうだ
スミレ「パー子さん ホントは1号ともっと仲良くなりたいんだけど 意地っ張りで それに恥ずかしがりだから すぐ喧嘩しちゃうって 悩んでたわ」
ミツ夫「1号も、、、たぶんホントは仲良くしたいんだと思うな」
2人は本人同士なのに まるで別人の 仲のいい友達の話をしているように言っている自分が内心 おかしくてたまらなかった。
なんだか妙に気が合う なんだか妙に親しい気持ちになる
一番鳥が鳴き、そろそろ別れる時間だ
ミツ夫「そろそろ行かなきゃ」
スミレ「あの、、、、ミツ夫さん」
ミツ夫「なに?」
スミレ「今日の あの 私がここにいたって事 誰にも言わないでね」
ミツ夫の脳裏に 星野スミレ 深夜のデートとか、スミレ現実逃避!とかいう週刊誌や新聞の見出しが目に浮かぶ
ミツ夫「勿論 誰にも言わないよ あのパーマンにだって言わない」
となんだか変だな、と思いながら最後の言葉をつけくわえる スミレ(パー子)は内心 笑いながらもうれしく思う
スミレ(1号ったら・・・)
ミツ夫は小指を出して言う
ミツ夫「2人だけの秘密 指切りげんまん うそついたら・・・」
スミレはすぐさまミツ夫の指に自分の小指をからめると約束のげんまんを交わす
ミツ夫「でも、残念だな〜 せっかくスミレちゃんに合ったのにサインもらえないなんて」
別にサインなんてどうでもよかった、ただこの夢の様な出来事の自分なりの思い出が欲しかった。スミレはだまってミツ夫を見ると 少しだけ背伸びをして彼の顔に自分の顔をちかずけると言う
スミレ「サインは出来ないけど 思い出に」

チュッっと軽く唇にキスをすると家の中に逃げるように駆け込んでいく
スミレ「ミツ夫さん 今日のこと 絶対 誰にもないしょよ」
ミツ夫は唇を指で押さえながら つぶやく
ミツ夫「モチロンさ もちろん ないしょにするよ」
車の窓から見える景色はだんだん 緑が減っていき車が多くなってくる 昨日の夢のような出来事が 本当に夢に思えてくる
ミツ夫(スミレちゃんと・・・また遊びたいな)


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